グリーンストックとは
(公財)阿蘇グリーンストックの概要
設立時期
1995年(平成7年)4月3日 設立
2011年4月 公益財団法人として認定
設立目的
阿蘇の緑の大地(草原・森林・農地)を、広く国民共有の生命資産(グリーンストック)と位置付け、農村・都市・企業・行政四者の連携により、後世へ引き継いでいくことを目的としています。
設立の背景
阿蘇は中・北部九州5県(熊本、佐賀、福岡、大分、宮崎)の主要6河川(緑川、白川、菊池川、筑後川、大野川、五ヶ瀬川)の源流地域にあたり、300万人以上の人々がその恩恵を受けており、「九州の水がめ」的位置にあります。また広大な緑の大地は、日本有数の食料生産基地でもあります。
このカルデラ火口丘と草原が織りなす雄大な自然景観は、毎年日本全国・海外から1,700万人以上の人々が訪れる癒しの地でもあり、更に、千年以上も続いている阿蘇の草原には大陸性の希少動・植物も多く生息しており、世界遺産にも匹敵する国民共有の財産とも言えます。
グリーンストック運動は、都市の生活者・団体・企業が阿蘇の生命資産の活用・保全に立ち上がることによって、農村・都市・企業・行政の四者の連携を構築し、この阿蘇の広大な生命資産を保全し、後世に引き継いでいこうというものです。
設立時の経過・沿革(設立前から2004年まで)
1991年 8月 | 生協、YMCA、保険医協会、佐藤・山口氏等で「グリーンストック構想懇談会」が発足。 |
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1992年 10月 | 同懇談会をベースに「財団法人 阿蘇グリーンストック設立準備会」が発足。 同準備会は西湯浦のトラスト目的で13.5㌶の農地・森林地を購入。 |
1993年 10月 | グリーンコープくまもと共生社組合員(約1万2千人)による財団設立100円基金の積み立て開始。 |
1994年 4月 | 阿蘇町が設立準備会に正式参加 |
秋 | 月間20頭のあか牛産直事業について基本契約の締結。 |
1995年2月 | 財団設立に向けた基金(出捐金)募集開始。 |
3月 | 財団設立発起人会の開催、設立申請。 |
4月 | 財団設立。 設立寄付金約1億4千万(阿蘇町5千万、グリーンコープ関係約4千万、県内企業・団体からの出捐金約5千万) |
5月 | 財団設立記念企画「草原シンポジウム」開催。 |
1996年 春 | あか牛産直事業のスタート、野焼き支援ボランティア活動の前進。 |
1999年 | 第1回野焼き支援ボランティアの活動開始と組織化 |
2002年 | ファームステイ・農業体験型修学旅行受け入れ、収益事業の開始 |
2003年 12月 | 環境省より全国初の国立公園管理団体の指定を受ける。 |
2004年 夏 | 農村都市交流施設「阿蘇ゆたっと村」のオープン |
グリーンストック憲章⇒基本理念
グリーンストック憲章(財団発足時)
わたしたちは、自然と共生し、命ゆたかな人生の実現を願って、生命の基盤である緑と水の生命ストックを殖やし、次の世代に大切に引き継ぐ、グリーンストック運動を提唱します。
わたしたちは、次の三つの目標をかかげて、この運動を進めます。
- 阿蘇の農業者と都市の生活者が互いに手をたずさえて、土と生命をいつくしむ農業を振興し、安全でおいしい食物の普及に努めます。
- 阿蘇の自然環境を守るために、国民共有の土地(コモンランド)を確保し、これを広げていくナショナル・トラスト事業を興します。
- 環境にやさしい田園ホリデー事業を通じて、自然と共生する手づくりの余暇空間を創り出し、人と人とのふれあいの場を提供します。
「グリーンストック憲章」から「基本理念」へ
20周年を迎えて、今一度グリーンストックの在り方について検討を深め、設立時の「グリーンストック憲章」に基づいて新しく基本理念をまとめました。今後は「グリーンストック理念」として事業推進の指針となります。
グリーンストック理念(2015年~)
「グリーンストック憲章」の基本精神を引き継ぎ、阿蘇の緑と水の生命資産(グリーンストック)を国民共有の財産として次の世代に引き継いでいくために、次の二つの目標を掲げてグリーンストック運動を展開していきます。
- 阿蘇の広大な自然環境と草原景観を国民共有の財産として評価し、都市と農村、企業・行政四者をつなぎ、これを後世に引き継いでいきます。
- 阿蘇の地域住民と都市住民及び企業・行政をつなぎ、土と命をいつくしむ産業を振興し、阿蘇の伝統文化と生業の維持・再生に取り組んでいきます。
活動理念
- 阿蘇の生命資産の荒廃は、従来の発想及びシステムではもはや阿蘇の広大な生命資産を活用・保全できなくなっていることを意味しています。
- グリーンストック運動は、阿蘇の広大な緑の大地を、地元の農林畜産業の資産としての狭義の評価を抜本的に問い直し、国民に安全な食料基地であるだけでなく、生命に不可欠な水を供給し、癒しの空間を提供し、多くの動・植物を育んでいるなどの広義の視点からの評価・位置づけをその運動の出発点としています。
- グリーンストック運動は、都市の生活者・団体・企業が阿蘇の生命資産の活用・保全に立ち上がることによって、農村・都市・企業・行政の四者の連携を構築し、活用・保全しようとするものです。
- 農村・都市・行政の連携による新しい農林畜産業の振興と環境保全事業の展開など、新しい発想による21世紀の都市・農村の在り方を目指しています。
基本財産
137,541,784円(2023年3月末現在)
決算
主な役員
- 顧問
- 蒲島郁夫(熊本県知事)
甲斐隆博(公益財団法人肥後の水とみどりの愛護基金理事長) - 理事長
- 佐藤義興(阿蘇市長)
- 副理事長
- 河村邦比児(熊本日日新聞社代表取締役社長)
- 〃
- 山内康二(前専務理事)
- 専務理事
- 増井 太樹
- 常務理事
- 村上 渡(元一般財団法人阿蘇自然公園財団阿蘇支部所長)
- 〃
- 鷲津 大輔
公益財団法人阿蘇グリーンストック 役員一覧
受賞歴
- 第6回環境水俣賞(2000年)
- 朝日新聞社・第2回明日への環境賞(2001年4月)
- 環境省(環境大臣)から国立公園管理団体全国第1号の指定(2003年12月)
- 「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰受賞(2004年4月29日)
- 平成16年度田園自然再生活動コンクール環境省自然環境局長賞受賞(2005年1月)
- オーライ!ニッポン大賞 審査委員会長賞(2006年2月)
- 平成18年度 熊本県緑化功労者表彰受賞(2007年1月)
- 国土緑化推進機構会長賞受賞(2008年10月)
- 熊日賞(2009年6月)
- 熊本県農業コンクール 農業貢献賞受賞(2010年2月)
- 第1回地域再生大賞特別賞(2011年2月)
- 第2回ユネスコ未来遺産運動プロジェクト採択(2011年3月)
- 国際ソロプチミスト熊本クラブ賞
平成25年度ソロプチミスト日本財団社会ボランティア賞受賞(2014年6月) - 熊本地震復興支援活動 環境大臣表彰(2016年10月17日)
- 第30回肥後の水とみどりの愛護賞(野焼き支援ボランティアの会 2016年10月)
- 阿蘇草原再生協議会特別賞 キリン株式会社賞(2017年8月30日)
- 地方自治法施行70周年記念 総務大臣表彰(2017年11月20日)
- 阿蘇草原再生協議会特別賞 阿蘇地域世界農業遺推進協会会長賞(2021年3月30日)
- 阿蘇草原再生協議会特別賞 コカ・コーラボトラーズジャパン賞(2021年3月30日)
- くまもと環境賞 部門賞くまもと自然共生賞(2023年6月)
※国立公園管理団体指定について
公園管理団体制度は、民間団体や市民の積極的な参加により地域に密着した公園管理を推進するため、2002年の自然公園法改正により創設された制度で、同法第37条第1項の規定に基づき、公益法人又はNPO法人(特定非営利活動法人)等のうち一定の能力を有する法人を、その申請により国立公園については環境大臣が、国定公園については都道府県知事が公園管理団体として指定し、自然の風景地の管理主体及び公園内の利用施設の維持管理主体等として位置づけるものです。
具体的な公園管理団体の業務として、植生の復元等の自然の風景地の管理、歩道や園地などの公園の利用施設の点検・補修などの維持管理、公園内の自然情報の収集・提供などがあり、2003年に国立公園管理団体第1号として阿蘇グリーンストックが環境大臣から指定されました。
指定年 | 公園管理団体名 | 国立公園名 |
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2003(H15.12) | (財)阿蘇グリーンストック | 阿蘇くじゅう国立公園・阿蘇地域 |
2005(H17.7) | (財)自然公園財団 | 知床国立公園・知床地域他、14公園18地域 |
2007(H19.11) | (財)知床財団 | 知床国立公園・知床地域 |
2008(H20.3) | NPO法人浅間山麓国際自然学校 | 上信越高原国立公園・浅間地域 |
2009(H21.5) | NPO法人たきどぅん | 西表石垣国立公園・竹富島地域 |