自然の力だけでは維持できない。
代々人の手で守られてきた阿蘇の美しい大草原
そもそも雨が多く温暖な日本の気候では、放置された草原は、やがて林や森へと姿を変えてしまいます。つまり、草原は自然の力だけでは維持することはできません。では、なぜ現在まで阿蘇の草原が維持されているのかというと、人と自然が寄り添い、歩んできた歴史があるからです。
人々は暮らしを支える貴重な資源である草原とともに、私たちが想像する以上の永い時間をともに生きてきたのです。
阿蘇の草原を維持するために続けられてきた3つの営み
営み その1
春の芽吹きを呼ぶ【野焼き】
毎年3月頃に行われる野焼き。草原に樹木が繁茂することを防ぎ、新たな芽吹きが促されます。焼けた地面から草花の新しい芽がすぐに出て、草原の風景を再び緑に変えていきます。
営み その2
刈られた草は様々な用途へ【採草】
主に冬場を畜舎で過ごす牛馬の餌や敷料として必要な干し草を確保するために行います。阿蘇地方の干し草刈りは、9 月から始まり、10 月下旬まで続きます。
営み その3
牛たちが草を食む【放牧】
放牧によって、牛馬が草を食べ足で踏み続けることで、シバの生える短草型草原が保たれます。広大な緑の草原で褐色の牛がのんびりと草を食む姿は、阿蘇ならではの美しい風景といえます。
1,000 年以上続いてきた伝統も、いま存続の危機に瀕しています
「この先10 年以上野焼きを継続できる」と答えた牧野組合は全体の約1 /4 しかいません。このままだと阿蘇の草原はなくなってしまいます。阿蘇の草原を守り、伝えていくために、「阿蘇草原再生プロジェクト」は様々な活動を行っています。まずはあなたにできることから始めてみませんか?