「古さ」と「新しさ」と。
文化財の補修だけでなく、福岡市中央区の鳥飼八幡宮の社殿や、熊本駅前にあるアミュプラザ熊本内のパン オ ルヴァンの内装など、現代的な茅葺きも手掛ける沖元さん。2025年の大阪・関西万博では隈研吾建築都市設計事務所が設計するパビリオンの茅葺きも担う予定ということで、茅葺きに対する思いについてインタビューをさせていただきました。
ー沖元さんが新しいデザインの茅葺を手掛けていらっしゃるのはなぜですか?
大前提として、日本の茅葺の技術や文化を後世に残したいという思いがあるんです。ただ、文化を残そうと古いものだけ手掛けていては衰退する一方だと思っていて、だからこそ、新しい提案をして使ってもらうことが大事だと考えています。デザインだけ見ると新しそうに見えるけど、実はその製作の過程ではたくさん伝統技術も使われていて、新しい案件を手掛けるたびに、どのようにして伝統技術を使ってチャレンジしていくか、日本の技術を使ってどうやって作っていくかを試行錯誤しながら手掛けています。
ー茅の素材の良さとはどのような点でしょうか?
茅という素材を万博という舞台で、しかも隈研吾建築都市設計事務所が設計するパビリオンに使われるということはみんなが興味を持ってくれるチャンスなので、すごく意味があることだと思っています。茅は最先端の素材、時代にピッタリな素材だと考えています。使い終わったら土に還るとかすごいことだよね。いろんな素材が開発されて環境に配慮しているっていうけど、茅は土に捨てておけばなくなるし、今の時代に必要な素材だと思っています。ほんの少しだけでも茅に目が向くと良いと思っています。
ー万博への意気込みを聞かせてください
楽しみ半分、きちんとできるか不安もあります。段葺きという葺き方で吹くのだけれど、形が複雑なので、そこをどうやって乗り越えるのか、新しいことにチャレンジしていきたいと考えています。自分だけじゃなくて、全国にいる茅葺職人の力も借りながら良いものを作り上げたいと考えています。
万博をきっかけに茅の良さを知ってもらえると良いし、特に資源循環とか茅の機能面の良さとか、単なるデザインとしての茅葺ではなく、世界中に茅葺はあるけれど、日本らしさがしっかりあるような茅葺を手掛けたいと思っています。
最近は茅に興味をもってくれる人が増えてきていて、特に若い職人さんも増えたり、若い人も興味を持ってくれているのを感じるので、そういった動きがますます広がることを期待しています。
株式会社 Earth Building
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