[阿蘇草原再生プロジェクト]の新しいロゴ・キービジュアルが完成!

「千年の草原」を守り、次世代に繋いでいく活動「阿蘇草原再生プロジェクト」をより多くの方に周知し、活動していくために、プロジェクトを象徴するキービジュアルと新たなロゴを制作いたしました。クリエイティブの力で、草原の「いま」を知り「みらい」を考えるきっかけづくりになればと、デザインは日本を代表する音楽フェスのひとつ「FUJI ROCK FESTIVAL」でデザイン監修を行うデザイナー・渡辺明日香さんに依頼をさせていただきました。

2023年12月、渡辺さんに阿蘇にお越しいただきました(写真一番左)

渡辺さんへ伝えた、阿蘇グリーンストックからの想い

今回ビジュアルを制作していただくにあたり、事前に阿蘇グリーンストックの専務理事より、デザインに対する思いをお伝えしました。

阿蘇の草原は地域住民の手でこれまで維持されてきました。かつては何をするのも手作業で、春の野焼き、夏の朝草刈り、秋の採草、防火帯づくりなど、全て人の手によって行われることによって、阿蘇の草原は連綿と続いてきたのです。
今でも人の手による作業が必要で、地元住民だけでできない作業はボランティアの力を借りながら実施するようになりました。いろんな人が手を組み、知恵を絞りながらなんとか草原を後世に残していこうという取組が阿蘇では始まっています。
自然をモチーフにすると消えてしまいがちな「人と自然が関わりあって生きていく」というテーマをモチーフの中に取り入れていただきたいです。

その他、モチーフに盛り込みたいと伝えていた要素

  • 阿蘇にしか生息しないマツモトセンノウや、ヒメユリなどの草原の植物
  • 春の野焼きの黒、初夏の新緑、秋のススキの金色など季節によって移りゆく草原の様子
  • 野焼きの炎(ゆらめく炎というより、一気に燃え広がる勢いのある炎)
  • 阿蘇の火山と立ち昇る噴煙
  • 人々の営み:草原をまもるために続いてきた放牧、刈草、茅葺、農業など

その後何度もラリーを重ね、ただモチーフを並べていくのではなく、1つのビジュアルに草原の循環を表す「つながり=ストーリー」を表現することになりました。

草原のストーリーとは

  • 地面が暖められ、雲海となり、それがさらに空へと昇り、いずれ雨になって地面に降りそそぐ
  • 人により野が焼かれ、でも植物の根は土の中で生きていて、野焼き後にいち早く再生して野を作る
  • 大地が陥没し、火山が噴火し噴煙を上げながら、その中で人が生活し、温泉や農業で火山の恵みを頂いている。

完成したデザイン

約4ヶ月にわたる構想・制作期間を経て、阿蘇の草原の営みを表現した、素晴らしいデザインが誕生しました。

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未来へつなぐ、野と火の営み。

ビジュアルに込められた草原のストーリー

阿蘇の火口から噴出する噴煙は、生き生きとした活火山の象徴です。カルデラの周囲には壮大で美しい草原が広がり、春には新緑が芽吹き、深い緑に移り夏を迎え、秋には黄金色に輝きます。冬を越すと、野焼きによって草原は真っ黒に染まりますが、春になると地中の根から新しい芽が伸びます。こうして、阿蘇の草原は古くから人々の手によって、野焼きや放牧、採草を繰り返すことで守られてきました。草原は多くの恵みをもたらし、希少な絶滅危惧種の植物を育み、雨や霧は地層を通り、地中に蓄えられ、地下水や湧き水として人々の生活を支えています。さらに、野焼き後の炭素は地中に蓄えられ、空気中の炭素を吸収する重要な役割も果たしています。

長い歴史の中で、人と自然が手を取り合い、共存し、循環してきた「草原と人の営み」を、このひとつのデザインの中にストーリーとして表現していただきました。

ロゴデザインコンセプト

阿蘇のカルデラを上から見た形を基に、人の手をデザインしました。この手からは新しい芽が芽吹いており、人々の営みによって草原が守られている様子を表現しています。「人と自然の共存」「循環」「再生」というテーマを表現しています。

デザインに対する思い

渡辺さんにビジュアルを制作するにあたっての思いを、コメントとしていただきましたのでご紹介いたします。

Q:阿蘇を草原を見て・体験して思ったことは?

今回プロジェクト参加をお声がけいただき、初めて阿蘇訪問し体験したのですが、山の稜線がとてもなだらかで優しい印象を受けました。また同時に、カルデラの地形からくる力強さや、荒々しさも垣間見ることができ、唯一無二のユニークな場所であることを感じることができました。

Q:デザイン制作をする上で意識したことや着想したモノ・コトについて教えてください。

自然環境の循環がテーマにあったので、それを表現しています。空、雲、雨、山の稜線、水、炎、地層など、阿蘇で体験したものやことからインスピレーションを受けてデザインを作成していきました。

Q:このデザインが阿蘇草原再生プロジェクトにどのように貢献して欲しいか教えてださい。

今回のプロジェクトを期に、今まで伝統として受け継がれてきた、美しい自然の景色や人々が今後も守られて行くことを前提に、さらに新しい進化を遂げて行けたら、デザインに携わったものとしても嬉しく思います。

たくさんの人々の想いが重なり、出来上がったデザイン。今後、阿蘇の草原保全に関わる様々なプロジェクト、プロダクトで使用されていく予定です。

Profile

渡辺明日香 Watanabe Asuka

東京在住。グラフィックデザイナー/イラストレーター、アートディレクター。多摩美術大学 造形表現学部にてデザインや美術について学んだのちに、広告プロダクションやデザイン事務所などを経て、フリーランス。ブランディングやロゴデザインから、イラストレーションやペインティングまで多岐にわたり活動中。カラフルで幾何学的な図形を用い、独創的で印象的なデザインを制作。フジロックフェスティバルのアートディレクションを2017年から手がける。

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