
牧島 英勝さん(まきしま ひでかつ)
【PROFILE】
1943年熊本県生まれ。大学時代から40年間の京都暮らしを経て、2003年に帰熊。野焼き支援ボランティア歴20年です。
「野ボラで出会った仲間は親友」楽しみながら続けることが大事。
−野焼き支援ボランティア参加のきっかけを教えて下さい。
野焼き支援ボランティアには、参加してちょうど20年になります。京都から熊本に戻ったのは60歳の頃。戻ったら「何をしようかな」と思っていた時に、たまたま新聞で“野焼き支援ボランティア募集”の記事を見たのがはじまりでした。
野焼き支援ボランティアをするまでは、草原が人の手で維持されてきたなんてことは全然知りませんでした。自然のままの状態で草原はあるものだと思っていたからです。熊本にずっと住んでいる人たちだって、そんなに知らないのではないかと思います。
そこから実際に野焼きの現場を体験してみたらその豪快さは圧巻でした!
−ボランティア活動を20年もの間、続けられている理由は何でしょうか。
野焼き支援ボランティアとして使命感を持って活動をしている、というよりは活動が楽しいから続いているのでしょうね。もちろん活動は「安全が第一」。でも、その次には「楽しんでやりましょうね」っていう気持ちがとても大事だと思っています。
人それぞれ楽しみは違います。
私は草花が好きだから、四季折々の草花を観察する楽しみがあります。
野焼きの時期に草花はないけれども、野焼きが終わり、そこからが草原の植物の一年が始まる。今年もあの花は見られるだろうか?なんて、ワクワクしながら野焼きの後の草原を眺めています。
秋になると野焼きの前準備の作業に“輪地切り”と呼ばれる草刈り作業を行うのですが、
草原のなかに一歩足を踏み入れたら阿蘇でしか見ることができない、多種多様な秋の花がいっぱい咲いているのです。ススキの穂が風に吹かれて、ゆれる広大な草原などボランティアでないと眺められない景色が観れるのも楽しみのひとつです。
それから、ボランティアへ来ると付き合いの長い仲間もいます。野焼き支援ボランティアのために阿蘇へ通うのは、輪地切りの作業で7回、野焼きで7回、年間14から15回くらいでしょうか。ボランティア活動の中でも張り詰めた場面ばかりではなくて、ゆっくりお昼ご飯を食べる時間もあり、自然と仲良くなれるんです。以前よりもボランティアに参加する回数は減ってしまいましたが、ボランティア活動以外にも会議があったり、阿蘇の子どもたちへのワークショップがあったりと、結構仲間と会う機会も多く、そのたびに仲も深まります。言わば“親友”。だから私にとってはとても貴重な場でもあるのです。

−ボランティア活動の中で気をつけていることなどはありますか?
地形や風を読んで危険を察知することが大事ですね。そして火から常に目を離さない事です。事故につながりやすい状況というのは、飛び火した時に消火活動に一生懸命なとき。そういう瞬間こそ周りが見えてなくて危ないと思います。 先輩が84歳までボランティアを続けていたんですが、私ももう81歳になりますし、同世代の野焼き支援ボランティアの仲間がどんどん減っていっています。
だから、これからは私を目標に頑張ってくれる若い人たちがいるといいなって思っています。あと5年はできるかな?
−最後にこれからボランティアに参加される方にメッセージをお願いします。
誰でもボランティア参加は大歓迎です。はじめは何もできなくても、1年、2年、3年と経験してリーダーになっていくんです。何でもそうですが、大切なことは“続けること”!それが一番大事です。
私は野焼きをやるためには、体力をつけないとついていけないと思っているから、トレーニングジムも20年通っています。野焼き支援ボランティアのおかげでまだまだ元気ですよ。やめてしまえば、これまでやってきたことが何にもなりませんからね。
結局は努力です。続けることが大事。そして続ける秘訣は楽しむこと。
そして、ボランティアに参加できる人は幸せな人だと常々思っています。心身共に健康であり、家族や周りの人の理解がある事。そして、会費や交通費など活動に必要な費用がかかるため金銭的にもある程度余裕がないと継続していけません。
だから参加出来る事は本当に幸せな事です。どうぞ幸せを噛み締めて阿蘇の草原で活動しましょう!待ってますよ。
私は帽子を被ったら63歳。帽子を脱いだら81歳!時間が足りないですよ(笑)!
今は、仲間と一緒に好きなことができる幸せを噛み締めています。
だから来てください!ボランティアに。
来ればここがどれだけ楽しいかわかると思いますから(笑)!
※2024年取材時の内容です
あなたも野焼き支援ボランティアに参加しませんか?
阿蘇の草原は長い間「採草」「放牧」「野焼き」を継続的に行うことで維持されてきました。野焼きは春先に原野の枯草を焼き払うことで草原を管理する手法です。水源涵養や生物多様性など多くの恵みをもたらす草原の維持には欠かせない取り組みです。
実は、そんな野焼きは多くの準備や人手を必要とするとても大変な作業です。担い手不足により地元だけで野焼きをできなくなったところも多くあります。そのようなところに支援に入り、地元の方と協働で野焼きを行うのが「野焼き支援ボランティア」です。
野焼き支援ボランティアは阿蘇の貴重な草原を残すために欠かせない存在であり、毎年延べ2,000名以上の方が活動に参加しています。ただし、野焼きは危険を伴う作業であり、参加するには相応の知識を身に着け、ボランティアのルールを守る必要があります。
「野焼き支援ボランティア初心者研修会」では、野焼きにおける安全管理、ボランティア活動時のルール、活動参加の要領などについて学ぶことができます。
「阿蘇の草原を守りたい!」「草原や野焼きに興味がある!」という方はぜひお申し込みください!